不動産ご相談事例
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相続した土地の境界トラブル
Fさんは、お父様から「築30年越えの2階建てアパート」とその「土地」を相続しました。相続から数年後、空室も多くなり、ご自宅の修繕の必要などからアパートと土地は売却したいと弊社にご相談を頂きました。調査を進めると、Fさんの知らない色々な事実が浮かび上がってきました。
①道路の問題
この土地の西側は「位置指定道路」の認定を受けていましたが、道路幅員が4mを満たしておらず、境界標も見当たりません。建物を建て替えるには、この道路全体を4m幅員にする必要があります。そこで道路に接道する住民全員の協力を得るために伺った所、Fさんのお父さんはこの位置指定道路を作る際に非協力的だったので、住民全員の協力を得る事が難しい事が分かりました。
②境界の問題
土地の売却は、隣地の地権者さんと、境界と地積について確認・承諾をしておくのが一般的です。しかし、隣地のうち1名のみ承諾は得られましたが、あとは「承諾して3階建てが建てられると困る」「登記簿より地積が小さくなってしまうから承諾しない」と話がうまくいきません。また過去に揉め事があった人には、取り付く島もなく断られてしまいました。
③アパート入居者の生活態度の問題
近隣関係が悪化した原因には、アパートの管理会社にも一因がありました。入居者の「ごみの分別の無さ」「夜中の騒音問題」「越境する植栽」等々、近隣の人は改善申し入れを何度もしたが一向に改善されなかったようです。今となっては当時の状況は分かりませんが、管理会社に任せっぱなしにせず、オーナー自身が近隣とコミュニケーションを取っていたら、関係も違っていたかもしれません。
結果、このままの状態での売却となり、相場よりも低い価格での売却となりました。低い価格でも購入者が見つかって良かったのですが、もし売却出来ていなければ、空室だらけの古いアパートに固定資産税だけ払って持ち続ける事になってしまいます。
相続財産に問題がある場合は、引き継がせたい人に情報を伝えておくことや、生前に問題点をクリアして次世代が活用しやすい状態にしておくこと、あわせて近隣住民との良好な関係を作っておくことが大切です。
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